日本で仏壇が祀られるようになったのは、遠く天武天皇の時代に遡るといわれています。そして法隆寺蔵の国宝玉虫厨子こそが仏壇のルーツだと考えられているのです。
玉虫厨子といえば仏堂を台座にのせたような形が特色で、柱や入り口の部分に玉虫の虹色の羽が施されている見事な作品です。
もちろん長い年月を経て劣化が進み、現在は玉虫の羽のほとんどが失われています。けれども玉虫厨子全体に描かれている仏教絵は今でも素晴らしさを保つとともに、この作品が単なる工芸品として作られたのではなく仏教の教えを忠実に再現しているものだと人々に感じさせています。
この玉虫厨子を制作した人こそ仏壇作りの名職人と謳われるべき人ですが、残念ながら誰が作ったのかは未だに分かっていません。